[楽譜]ARSNOVA第二組曲(末廣健児・丸本大悟 共作)

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2022年2月27日、ARTE MANDOLINISTICAの「ARTESSIMO Ⅳ 『丸本大悟・末廣健児作品集』」にて初演された【ARSNOVA第二組曲】。
【ARSNOVA組曲】と同様に本作も末廣健児と丸本大悟による共作になります。
スコアとパート譜をセットにしたPDFとしています。

販売価格:4,400円(税込)

特別対談:ARSNOVA第二組曲

末廣:今回の「第二組曲」のお話、1年ほど前に井上さんからご提案があったよね。その時、まるちゃんは正直どう思った?

丸本:10年も音楽に関わっていなかった人間なので、心のどこかで「自分には何も期待してはいけない」と思っていました。今もちょっと思ってます(笑)。
そんな時にこのお話をいただいたので、すごく嬉しかったです。あと、すえさんが常に前向きに考え、接してくださったことも「また楽譜を書いて良いよ」と言ってくれている様で…救われました。

末廣:僕も、まるちゃんとまたこうした機会を持たせてもらえて本当にありがたかった。それから、敢えてこのタイミングを選んで今回の企画を持ち出してくださった井上さんと、ARTEメンバーに対する感謝が大きかったなぁ。
ARTEがここまで活動を継続していただいていたからこそこうした機会が巡ってきたわけで、何とも贅沢な、もったいないお話だなと。あと、改めて「もう20年になるのか…」と、ちょっと時の流れにびっくりしたりして(笑)。

丸本:そうですね。お互いに井上さんから「20周年」と言われてはじめて気付きましたもんね。

末廣:今回の曲を作るにあたって、途中お互いに意見を交わしながら作ったよね。
最初に井上さんから「ARTEの音型をモティーフに」とお題があって、まるちゃんのアイデアで「T=ソ」にしよう、ってなって。テーマ設定も、どうしようかってなったよね。1楽章は、どんなことを考えながら作った?

丸本:そうですね。いろいろ悩んで最初は中々作り始められなかったんですけど、2楽章の途中段階のサンプル音源を一部拝聴し、「1楽章を弾き終えた直後の舞台」がイメージできました。
そう言えば僕はそんな風に曲を作る人間だったと思い出して、「素晴らしい形で2楽章が始まる為の序章」を作りました。また対比として成立する様に「邪悪な感じ」を意識しました。

末廣:個人的にはまるちゃんの「やさしさ」の部分をすごく感じる曲になってると思うけど・・・ちなみになんで「邪悪」なん?

丸本:「邪悪」は絶対すえさんの曲と被らないと思って。

二人:(爆笑)

丸本:あと、序章を作りたいと思ったからにはモティーフなど材料をどれだけ「聴いて意識してもらえるか」に注力したんですけど、その結果ちょっと「縛られ過ぎた」かなぁと思っています。すえさんから意見をいただいた部分だったのに力不足で・・・なんだか自分で作って無い様な感覚すらあります・・・。

末廣:いやいや、練習で音出ししたら、やっぱり“丸本カラー”をしっかり感じるいい曲になってたよ。

丸本:ありがとうございます。そういえばすえさんは、今回の曲の構想を練るときに「ARSらしさ、ARTEらしさが必要なんじゃないか」って言ってはりましたよね。

末廣:そうやね。全く違うコンセプトで作ることも考えたけど、やっぱり20年前の「ARSNOVA組曲」があったからこそ今があるので、そこは自分の中で外せなかったし…。「依頼者の想いに寄り添って書きたい」というのが、自分のスタイルかな、とも思うし。

丸本:2楽章は、どんな感じで作らはったんですか?

末廣:まるちゃんが書いた「ARSNOVA組曲第2楽章」がまず念頭にあって。あの曲は当時めちゃめちゃ革新的な曲調で、かつ曲の持つ熱量やテンションがすごくて、自分が奏者として弾かせてもらった時の高揚感がずっと忘れられなくて…。
それで、今回はとにかくそういうエネルギーを詰め込んだ曲にしよう!と思ったら、こうなった感じやね。あとはまるちゃんと一緒で、モティーフをいかに盛り込むかで結構試行錯誤したかな、と。

丸本:「ラ-レ-ソ-ミ」の展開とか変形の仕方も、いろいろ相談しましたよね。つなぐ順番を守るべきか、移調しても音型は守ったほうがよいのか、和音の要素にするのはどうか、とか…。

末廣:うんうん。まるちゃんからいろいろアイデアを出してもらって、結果的にどっちの楽章も「大ラレソミ祭り」になったけど(笑)。
なので、モティーフの要素を探しながら聴いていただくと、また違う形で楽しめるのかも…。1楽章の中で、ここは聴いてほしいなあ、っていうところは?

丸本:キラキラ感で自分なりに音の配置を工夫したところがあって、その辺はそう聴こえたら良いなぁ…と思っています。

末廣:1楽章には“音像の面白さ”の要素がすごくあるよね。あと、両方の楽章に20年前の組曲のモティーフが散りばめられているところも、ご存じ頂いている方には伝わるところかなと思うので、会場で耳と目を向けていただけると嬉しいね。

丸本:そうですね。2楽章にはすごく前進感があって、“必ず前向きに生きていく”という、信念を感じる人がきっと多いと思います。“彗星や銀河の輝き”の様な宇宙的な魅力も感じています。あと個人的にいいですか?

末廣:そんなにあらたまって、何?(笑)

丸本:僕はすえさんからいただいた「まるちゃんと僕の共通点として、曲がりなりにも20年間 “誰かとの繋がりの中に自分達の曲があった”という経験を、本当にありがたい事だと感じているよね」という言葉に励まされて、今があります。

末廣:そうやね、それは本当に嬉しいことやから、心から感謝したいね。

~二人より~
これまで自分達の曲に関わってくださった皆様、本当にありがとうございます。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。